相続人がいないおひとり様はどうする?終活で備える財産整理の方法

皆さんこんにちは。よりねこ編集部です。

前回はおひとり様についての相続について解説をしました。

本日は「おひとり様の終活」を進める上で絶対に知ってもらいたい財産整理」について解説をしていきます。

本記事がおすすめな方
  • 単身・独身って相続する相手もいないし財産の整理って特にいらないのでは?と思っている方
  • 財産がないので財産を整理するものがないとお考えの方
  • 財産整理をすると何かいいことがあるの?と懐疑的な方

目次

相続人がいないおひとり様が増えている現実

「自分には子どもも兄弟もいないから、相続の話は関係ない」と考えている方は少なくありません。

しかし今、社会全体では“相続人がいないおひとり様”が確実に増えています。

日本では生涯未婚率(50歳時点で一度も結婚したことのない人の割合)が、男性で約25%、女性で約17%に達しています(厚生労働省・国立社会保障・人口問題研究所調査 2023年)。

さらに単身高齢者世帯は2030年には約1,000万世帯を超えると推計されており、親族や子どもがいないまま高齢期を迎えるケースが急増しています。

その結果として、「相続人不在」が社会問題化しつつあります。遺産の行き先が決まらないまま放置されるケース、死後の手続きが進まずに不動産や預貯金が“宙に浮く”ケースも増加しています。

この記事では、そんなおひとり様が直面しやすい相続の課題を整理しながら、終活としてどのように備えておくべきかを、段階的にわかりやすく紹介します。

今から準備しておくことで、「自分の財産を自分の意思で整理する」ことが可能になります。

単身・独身世帯の増加で“相続人不在”が社会問題に

総務省の国勢調査によると、単身世帯はすでに全世帯の3割を占めています。

特に都市部では、結婚せず一人で暮らす“おひとり様”が増え、高齢期を迎える頃には親族関係が希薄になる傾向が強まっています。

相続制度は、もともと「家族が複数いる」ことを前提に設計されています。しかし現代では、相続人となる配偶者・子・兄弟姉妹がいない、あるいは疎遠で連絡が取れないというケースが珍しくありません。

その結果、死亡後の遺産処理や役所への届出が誰にも行われず、財産が“行き場を失う”事態が増えています。

中には、賃貸住宅でお亡くなりになった後、誰も契約解除を行えず、部屋の原状回復費用を管理会社が負担した事例もあります。

このようなケースを防ぐには、早めに終活に備えることが重要です。相続は家族がいる人の問題ではなく、おひとり様にこそ関係の深いテーマだといえるでしょう。

自分には財産がないし関係ないが一番危険

「相続」と聞くと、大きな資産や不動産を持つ人の話だと思うかもしれません。しかし、実際には預貯金・家具・保険・デジタル資産など、どんな人にも形のある財産があります。

つまり、相続はおひとり様でも、大家族でも「誰にでも関係すること」です。

おひとり様の場合、相続人がいないと、その財産は自動的に国庫(国の財産)に帰属する仕組みになっています。

これは法的には正しい流れですが、自分が築いてきた財産を「誰のために使ってほしいか」という意思を示さないまま、国に引き継がれてしまうのは、少し寂しいと感じる方もいるでしょう。

また、「財産は少ないから放置しても大丈夫」と考えていると、死後の手続きで第三者(大家・銀行・役所)が対応に困り、
思わぬトラブルを招くケースもあります。

実際、相続人不在によって家財の処分や口座解約が長期化し、整理費用が行政負担になった例も報告されています。

少額でも“財産をどう扱うか”を自分で決めておくことが、おひとり様の終活における最初の一歩です。

相続人がいないと財産はどうなる?

もし相続人がいない場合、残された財産はどのように扱われるのでしょうか。民法では、相続人がいないときは「特別縁故者(生前に親交のあった人)」に財産を分与できる制度があります。

それでも該当者がいない場合、最終的には国庫に帰属する(国のものになる)と定められています。

つまり、遺言書がないまま亡くなった場合、自分の財産を誰に託すかを選ぶ権利が失われてしまうということです。

たとえ親しい友人やお世話になった団体がいても、法的には自動的にその人たちへ渡ることはありません。

さらに、相続人がいない状態では、死亡届や葬儀の手配、家財の処理を担う人がいないため、行政が一時的に対応するケースもあります。

その結果、財産が宙に浮いたまま時間がかかり、遺品整理や清算に膨大な手間と費用がかかることも。

こうしたリスクを防ぐために、おひとり様こそ早めに「相続」と「財産整理」をセットで考えることが大切です。

自分の意志を明確にし、終活の中で財産の行き先を整理しておくことが、誰にも迷惑をかけず、安心して人生を終えるための最善の方法といえるでしょう。

相続人がいない場合に起こる財産整理トラブルとリスク

相続人がいない“おひとり様”にとって、財産整理は特に注視が必要なテーマです。

相続人がいないからこそ、相続がスムーズに進みそうだと感じる方もいますが、実際はその逆で、むしろ手続きが複雑化するケースが多いとされています。

相続手続きは法律に沿って厳密に行われるため、誰が遺産を受け取るのか、誰が死後の手続きを行うのかが明確でない場合、残された財産が放置されてしまい、結果として大きな負担につながる可能性があります。

また、財産整理ができないまま時間が経過すると、不動産が管理されない状態になり、老朽化によって周囲の住居へ影響が及んだり、預貯金の凍結解除に手間がかかり生活基盤に支障が出たりすることもあります。

こうした問題は相続トラブルというより“死後の片づけができない”ことから生まれるリスクであり、終活の段階で備えておくかどうかで状況が大きく変わります。

この記事では相続人がいない場合に起こりやすい問題を丁寧に解説しながら、どのような準備をしておくと安心できるかを整理してお伝えします。

財産整理は「誰に財産を渡すか」という話だけでなく、死後の生活を誰に託すかという非常に重要な意味を持つものです。

おひとり様が自分らしい人生を締めくくるためにも、この章で“リスクの全体像”をいっしょに確認していきましょう。

遺産が国庫に帰属する仕組みを理解しよう

相続人がいないおひとり様が最も誤解しやすいのが、「財産はそのうち誰かが処理してくれるだろう」という感覚です。

実際には、相続人が存在しない場合、法律の流れに沿って“最終的に遺産は国庫に帰属する”ことになります。

これは民法の規定によるもので、特定の相続人や親族がいない場合には、明確に定められた手続きによって国が財産を引き取る仕組みです。

しかし、この国庫帰属に至るまでのプロセスは決して簡単ではなく、相続財産管理人(家庭裁判所が選任する専門職)が財産の調査や清算を行うため、長期間にわたり財産整理が進まないケースがあります。

特に不動産が残っている場合、売却や清算までに時間を要し、その間は管理が放置された状態になりやすく、近隣から苦情が寄せられることもあります。

さらに、国庫に帰属した財産は、本人が生前に大切にしてきた人や団体へ渡ることはありません。

もし「お世話になった人に少しでも渡したかった」「応援している団体に寄付したかった」という思いがあったとしても、遺言書がない限りその願いは反映されません。

終活における財産整理は、このような“意思を残すための仕組みづくり”でもあります。

相続人がいない場合こそ、自分の財産をどう扱うのかを明確にしておくことで、無用な時間や手続きを減らし、納得のいく財産整理につながります。

死後事務や財産管理をしてくれる人がいない問題

相続手続きは財産の分配だけではありません。

お亡くなりになった後には、役所への届出、公共料金の停止、医療費の精算、賃貸契約の解約、遺品整理など、多くの“死後事務”が必要になります。

相続人がいる場合は家族が対応しますが、おひとり様の場合は「誰がこの作業を行うのか」という大きな問題が発生します。

実際に、身寄りがない高齢者が亡くなった後、管理会社が対応に困り、部屋の片づけ費用を一時的に負担した例や、役所が遺品の整理を行い、処理費が問題になった例も報告されています。

死後事務は法律上、誰かが代わりに行う義務はなく、親しい友人でも勝手に口座解約や家財処分はできません。

そのため、おひとり様にとっては「死後事務委任契約」など、信頼できる第三者に死後の手続きを託す準備が重要になります。この契約があることで、自分の死後に必要な事務作業を確実に実行してもらえるようになり、残される人に負担を与えずに済みます。

財産整理を終活として進める際には財産そのものだけでなく、死後事務を誰がどのように担うのかまで含めて準備しておくことで、安心感が大きく変わります。

身の回りの整理をしないと残された負担が増える(財産整理はお金だけではない)

財産整理というと“お金”に目が向きがちですが、実際には生活用品や家財、趣味の物、書類、写真、データなど、日常の身の回りのものすべてが対象になります。

おひとり様の場合、この身の回りの整理ができていないと、死後の対応に関わる人が多大な負担を抱える可能性があります。

近年、自治体が「孤独死の住宅清掃問題」を課題として挙げるケースが増えています。

残された家財やゴミの処理に数十万円以上かかることもあり、本来は家族がするべき片づけを管理会社や行政が負担する事態も起きています。本人の意思に基づかない処分が行われてしまうこともあるため、持ち物の整理は自分らしい生き方を守るためにも重要な終活です。

またデジタル資産が整理されていないと、ネット銀行・ポイント・サブスクの契約が残り続け、費用が引き落とされたままになるケースもあります。財産整理は、アナログ・デジタルの両面から進めていく必要があります。

おひとり様の終活は、「迷惑をかけないために」ではなく、「自分の意思を大切にしてもらうための準備」と捉えて進めると、前向きに取り組みやすくなります。

終活で備える「おひとり様の財産整理」3ステップ

おひとり様にとって財産整理は「自分の意思を誰にどう託すか」を明確にする大切な終活の一部です。

相続人がいないという状況は決して珍しいことではなく、むしろ増えていると言われています。

しかし、相続人がいないからといって手続きが不要になるわけではありません。むしろ財産の所在がわからなければ、死後の管理が滞り、財産が放置されたり、行政や関係者に余計な負担を生むことにつながるケースもあります。

そのため、おひとり様こそ「財産整理の段取り」を生前に整えておくことで、死後のトラブルを防ぎ、人生の最終段階を落ち着いて迎える準備につながります。

この章では、終活の中でも特に重要な「財産整理の3ステップ」を紹介します。どれもすぐに取り組める内容であり、時間をかけて整えていくことで“自分の人生を自分の意思で終える準備”ができるようになります。

ここからは、財産整理の具体的なステップについて丁寧に解説していきます。

①財産目録をつくり資産を見える化する

財産整理の第一歩は自分が持っている財産を「見える化」することです。

おひとり様の終活において、この作業は特に重要とされています。

なぜなら、財産目録がなければ、預貯金や不動産、保険契約、株式・投資信託、そしてデジタル資産が“どこに何があるのか”誰にも分からないままになる可能性があるからです。

財産目録とは自分の資産を一覧化したものです。ここでは財産目録と評していますが、excelにまとめる、エンディングノートなどにまとめるでも全く問題ありません。

相続人がいない場合、この不透明さが“財産整理の遅れ”に直結し財産が長期間凍結されるケースもあります。

財産目録には財産の種類や金額だけでなく、銀行口座の支店名や契約内容、保険証券番号、所有している不動産の所在地、ネット証券のログイン方法など、必要な情報をまとめておくとスムーズです。最近では、家計管理アプリやエクセル・手帳など、管理方法も多様になっているため、自分が続けやすい方法で記録することが大切です。

また、財産目録を作ることは、単に整理のためだけではなく、老後の生活設計を見直すきっかけにもつながります。

「意外と保険に入りすぎていた」「使っていない口座が多い」「解約したいサブスクが残っていた」という気づきが生まれることもあります。

財産整理の負担は、最初の見える化によって大幅に軽減されます。これは相続対策でもあり、老後の安心を整える終活として最も効果的なスタートになりえます。

②遺言書を作成して財産の行き先を決める

財産目録ができた次のステップは「財産を誰に託すのか」を明確にすることです。

相続人がいないおひとり様にとって、遺言書は意思を残す唯一の手段と言ってよいほど重要な書類になります。

遺言書がなければ、財産は最終的に国庫へ帰属する可能性があり、自分が望む相手に渡すことはできません。

遺言書には自筆証書遺言と公正証書遺言の2種類がありますが、トラブルを避けるためには、公証役場で作成する公正証書遺言が望ましい方法とされています。

遺言書といっても固くなる必要は全然ないです。どちらかというと「私に何かあった時にお金や資産をこうしてほしい」と意思を示す指示書、緊急連絡書のようなものです

公正証書遺言は専門家である公証人が内容を確認し、法的に無効となるリスクを大幅に減らせる点で、おひとり様の終活において非常に心強い選択肢です。

また、遺言書には「財産の行き先」だけでなく、「感謝の気持ち」「お世話になった人への想い」などを記すこともできます。

遠縁の親族・長年の友人・お世話になった団体・寄付したい法人など、相続という枠に収まらない自分らしい財産の託し方を選べることも特徴です。

遺言書を作成することは、財産整理の中心であり、終活の中でも非常に大きな安心につながります。相続対策としてだけではなく、“人生の意思表示”としての意味も持っています。

③相続人がいないからこそ信頼できる第三者に死後の手続きを託す

財産目録と遺言書が整ったら、次に必要なのが「死後の手続きを誰に任せるか」を決めることです。

相続人がいない場合、死亡届の提出、医療費の精算、賃貸住宅の解約、公共料金の停止、遺品整理など、多くの手続きが宙に浮いてしまいます。おひとり様にとって、この“死後事務の空白”は非常に大きなリスクです。

そのため有効なのが、「死後事務委任契約」を活用する方法です。死後事務委任契約とは、信頼できる第三者(司法書士・行政書士・NPO・法人など)に対して、自分の死後に必要な事務作業を行ってもらうための契約です。

遺言書が財産の行き先を定める書類であるのに対し、死後事務委任契約は死後の生活の後片づけを託す契約という位置づけです。

この契約を結んでおくことで、葬儀の手配、住まいの解約、遺品整理、各種手続きなど、生前には対応が難しい部分も安心して任せられるようになります。また、財産整理と密接に関わる契約のため、遺言書とセットで準備しておくと、死後の流れがスムーズになります。

相続人がいないおひとり様の終活では、「財産を誰に渡すか」と同じくらい、「死後の作業を誰に任せるか」が重要です。信頼できる相手に託すことで、残された人に迷惑をかけず、自分らしい締めくくりを実現できます。

おひとり様におすすめの財産の託し方

おひとり様が終活を進めるうえで大切なテーマのひとつが、「財産を誰に、どのように託すか」という視点です。

相続人がいない場合、財産の行き先は自分の意思によって大きく変わるため、整理しておくことで老後の安心感は大きく高まります。

特に、財産整理は単なる“片づけ”ではなく、生き方や価値観を反映させる行為とも言われており、自分が築いてきたものを未来へどのように残すかを考える時間にもなります。

また、誰にも迷惑をかけたくないという思いが強いおひとり様にとって、財産を託す相手や方法を明確にしておくことは、相続トラブルの回避にもつながります。

終活の中でも財産整理は後回しにされやすい分野ですが、早めに取り組むことで“残された負担を減らす”という意味でも大きな効果があります。

この章では、おひとり様が選びやすい「財産を託す方法」について、分かりやすく丁寧に説明していきます。

死後事務委任契約で葬儀や整理を任せる

おひとり様の終活において死後の手続きを誰が担うのかという問題は非常に重要です。

相続人がいない場合、葬儀の手配や住まいの解約、医療費の精算、公共料金の停止、遺品整理などを代行してくれる人がおらず、手続きが宙に浮いてしまう可能性があります。

こうした不安を解消する手段として注目されているのが先ほど解説した「死後事務委任契約」です。

この契約を結ぶことで葬儀の手配、部屋の原状回復、遺品整理、役所手続き、医療費の支払い、契約解除など、多岐にわたる死後の事務を確実に実行してもらえます。

特におひとり様の場合、自分の死後に誰が動いてくれるのかという不安が大きいため、こうした制度を活用することで、財産整理の不安も軽減されます。終活の一環として、財産整理とあわせて検討される方が増えているのはそのためです。

信託や寄付で社会に還元するという選択肢

おひとり様の財産整理では財産の行き先として「信託」や「寄付」という選択肢も多く選ばれています。

相続人がいない場合、財産を誰かに託す方法は数多くありますが、その中でも社会やコミュニティに還元する方法は、終活の価値観として共感される方が増えています。

信託とは自分の財産を信頼できる第三者に託し、目的に沿った運用や管理をしてもらう仕組みです。

生前の生活費管理や死後の財産処理を任せられるため、おひとり様にとっては強い味方になります。また、「自分の財産を特定の活動に使ってほしい」という希望にも柔軟に対応できる点が特徴です。

一方、寄付は自分の想いを社会に繋げる方法として広く知られています。医療、教育、福祉、環境保護など、自分が支援したい分野に財産の一部を寄付することができ、終活の中でも「最後に誰かの役に立てる」という満足感や充実感につながる方も多いとされています。

相続という枠だけでなく、「自分が人生で大切にしてきた価値観を未来に残す」という視点を持つことで、財産整理がより前向きな行動になります。

お世話になった学校や施設へ遺贈寄付

おひとり様の終活では財産整理の中で「遺贈寄付」を選ばれる方も増えています。

遺贈寄付とは、遺言書で定めた団体や学校、施設などに財産を寄付する方法です。相続人がいない場合に限らず、自分の財産を“感謝の形”として社会へ還元できることから、年々関心が高まっています。

たとえば、かつて通った学校・支援を受けた医療機関・お世話になった施設・応援したい団体などへ遺贈することで、財産の一部がその組織の活動や発展につながります。実際に、大手大学や医療機関では遺贈寄付の受け入れ窓口が整備されており、個人の想いが未来の学生支援や医療研究に役立った例も多く見られます。

また遺贈寄付は、遺言書で明確に定めることがポイントとなり、寄付したい団体名・用途などを記すことで、自分の意思を正確に残せます。これは財産整理の中でも“想いを形にする行為”であり、おひとり様だからこそ選びやすい方法でもあります。

財産が未来の誰かの役に立つことを想像すると、生前の不安が自然と和らぐ方も多いと言われています。

“想いを残す”エンディングノートの活用法

財産整理を考えるうえで欠かせないのが、エンディングノートの存在です。

エンディングノートは法的効力こそありませんが、“自分の気持ちを整理して残すためのノート”として終活の中でも非常に人気があります。

おひとり様の場合、相続の手続きだけでなく、死後事務、資産整理、葬儀の希望、デジタル情報、ペットのことなど、伝えておくべき情報が多岐にわたります。エンディングノートを活用することで、それらを分かりやすくまとめておくことができ、死後の負担を大きく軽減できます。

また、財産整理では「細かな情報」が重要になります。

銀行口座の支店名、保険の加入内容、ログインID、クレジットカードの種類、加入中のサービスなど、遺言書では書ききれない内容をエンディングノートで補完できます。

さらに、エンディングノートは“想い”を伝える場所にもなり、自分の人生を振り返ったり、誰かに感謝を伝えるためのページを設けている商品も多くあります。法的文書では書きにくい、自分の気持ちを素直に残せることが大きな特徴です。

財産整理とあわせてエンディングノートを整えることで、相続の準備がよりスムーズになり、終活の安心感がぐっと高まります。

財産整理と一緒に考えたいデジタル終活

財産整理を進める際、近年特に重要になっているのが「デジタル終活」という視点です。

おひとり様の場合、紙の通帳や現金よりも、ネット銀行、クレジットカード、サブスク、スマホのアプリ、クラウドデータなど、デジタルの中にある“見えない財産”が多くなりやすい傾向があります。

こうしたデジタル資産は相続手続きの際に発見されないまま放置されることも珍しくなく、財産整理の準備をしていても「気づかれない財産」「解約されない契約」が残ることがあります。

特に相続人がいないおひとり様の場合、これらのデジタル情報が未整理のままだと、死後の事務手続きを任された第三者が把握できず、契約が継続したり利用料が課金されたりする可能性もあります。

終活の段階でデジタル情報を整理しておくことで、死後の負担を大きく減らすことができ、財産整理の精度も高まります。

この章では、おひとり様にとって特に重要な「ネット銀行・サブスク・ポイント」「パスワード管理」「デジタル遺産の託し方」について詳しく見ていきます。

ネット銀行・サブスク・ポイントの扱いを明確にしておく

デジタル終活の中でも、最初に整理したいのが「ネット銀行・サブスク・ポイント」に関する情報です。

おひとり様はキャッシュレス決済やオンラインサービスを活用することが多く、気づけば契約しているサービスがいくつもあるという方も珍しくありません。

財産整理の観点から見ると、これらが整理されていないことは大きなリスクになります。

ネット銀行は通帳が存在しないため、相続手続きを行う際に見落とされやすい特徴があります。

ログイン情報や金融機関名を記録していないと、財産として認識されないまま長期間放置されてしまう可能性もあります。

また、ポイント(楽天ポイント、dポイント、Tポイントなど)も規約によっては相続できるものもあり、ポイント残高が数万円に達しているケースも少なくありません。

さらにサブスク契約は解約しない限り自動更新され続ける仕組みのため、死後に支払いが継続してしまう場合があります。

動画サービス、音楽サービス、クラウドストレージ、アプリのプレミアム契約など、多くの人が「何を契約しているか正確に覚えていない」傾向があり、おひとり様にとっては特に整理しておきたい部分です。

終活では、これらの情報を一覧化し「どの契約を継続・停止するか」を明確にしておくことが、財産整理の効率化にもつながります。

パスワードやアカウント情報を安全に管理する

財産整理を行う上で避けて通れないのが、「パスワード管理」の問題です。

デジタル資産の多くはアカウントで管理されており、ログインができなければ手続きが進みません。おひとり様の場合、パスワードが分からないことで財産の確認や解約ができず、デジタル遺産が放置されるケースが増えています。

しかしスマホのメモに残したりするだけでは、紛失リスクや不正アクセスの危険性があります。

そこで、終活の観点では「安全性」と「引き継ぎやすさ」を両立させる方法を選ぶことが大切です。

例えば、パスワード管理ツールを利用すれば情報を一元管理でき、万一の際にも信頼できる人にアクセス方法を伝えておくことで、デジタル資産の扱いがスムーズになります。

また、パスワードは定期的に変更される場合もあるため、「最新情報をどこに保存するか」を明確にしておくことが重要です。

エンディングノートやデジタル遺言のような形で、アクセス方法や確認すべきサービス名を記録しておく方も増えています。

デジタル資産は“形のない財産”とも言えるため、おひとり様は早い段階から整理しておくことで、財産整理の負担が大きく軽減します。

おひとり様におけるデジタル遺産の託し方

おひとり様がデジタル遺産をどのように託すかは、終活の中でも非常に重要なテーマです。

デジタル遺産とはネット銀行、電子マネー、暗号資産、サブスク、SNS、クラウドデータ、写真、動画、パソコンやスマホ内のデータなど幅広いものを指し、自分が思っている以上に“残るもの”が多いことが特徴です。

相続人がいない場合、これらのデジタル資産は第三者に管理を委ねる必要があります。

死後事務委任契約や信託契約などと組み合わせることで、データ削除、契約解除、必要なデータの引き継ぎなどを確実に行ってもらえます。

また、「見られたくない情報」もデジタル遺産に含まれるため、整理の優先順位を決めておくことで、安心して生活を続けられる方も多いと言われています。

SNSなどは本人の死後にアカウントが残り続けるケースも多いため、「削除する」「記念アカウントとして残す」などの希望を書き残しておくことも有効です。

財産整理の中でデジタル遺産を明確にすると、終活全体の見通しが良くなり、老後生活に対する安心感も高まります。

おひとり様が終活を進める際は、ぜひ財産とデジタル情報をセットで整理してみてください。

財産整理を進める終活のコツと考え方

財産整理という言葉を聞くと、多くの方が「老後の最後にやること」や「人生の終盤で向き合う作業」という印象を持つかもしれません。

しかしおひとり様にとって財産整理は、むしろ終活全体の「最初にやりたいこと」に位置づけられます。

特に相続に関する準備は、早い段階から小さく始めることで心の負担が軽くなるだけでなく、自分の人生をより主体的に設計するきっかけにもつながります。

また、財産整理を進めるなかで「何に価値を置いて生きてきたか」「これからどう暮らしていきたいか」といった人生の軸が見えてくる方も少なくありません。

終活は“最期のための準備”と思われがちですが、実際には“これからの人生を安心して過ごすための基盤づくり”として役立つ側面が大きいのです。

ここでは、財産整理をよりスムーズに進めるための考え方やコツについて、順を追って説明します。おひとり様が自分らしく安心して生きるための指針にもなる内容ですので、ぜひ心を楽にして読み進めてみてください。

財産整理は終活の最終段階ではなく第一歩

財産整理は「人生の終わりにまとめてやるもの」というイメージを持つ方が多いかもしれませんが、実際には終活の最初のステップとして取り組む人が増えています。

その理由の一つに、財産整理を進めることで“今の自分を知る”ことができ、終活全体の方針を立てやすくなるという点があります。

特に相続に関する準備は早い段階で財産の全体像を把握しておくことで、将来の判断が格段にしやすくなります。

例えば、預貯金、不動産、保険、ポイントやデジタル資産などを一覧にまとめておくと、思っていたよりも管理が煩雑だったり、逆にシンプルだったりと、自分の資産の状態が明確になります。

これはおひとり様の終活において非常に重要な作業になります。

また、財産整理を「最終段階の作業」として捉えると、心理的に重くのしかかり取り組むのが遅れがちになります。終活を軽やかに進めるためにも、“今できることから始める第一歩”として、財産整理を位置づける考え方が広がっています。

実際に40代・50代から財産整理を始めた人たちの多くは、「早めに着手したことで安心感が得られた」「自分の人生の方向性が見えた」という声を挙げています。終活を前向きに捉えるうえでも、財産整理は欠かせないスタートポイントです。

信頼できる人・仕組み・書類を整えるだけで安心感が生まれる

おひとり様が財産整理を進めるとき、特に重要になるのが「信頼できる人や仕組み」をどのように整えておくかという点です。

相続人がいない場合、死後の事務手続きや財産管理を任せる相手がいないことで不安を抱えがちですが、終活の段階で準備を進めておくだけで安心感が大きく変わっていきます。

例えば、死後事務委任契約は自分に代わって葬儀、役所の手続き、家財の整理などを行ってもらえる仕組みとして注目されています。

契約を結んでおくだけで、「もしもの時にどうなるのか」という不安が軽減され、自分の意思に沿った形で対応してもらうことができます。

また、財産整理に欠かせないのが書類の整備です。

財産目録、遺言書、エンディングノート、医療・介護の希望など、最低限の書類をまとめておくだけで、死後の手続きは格段にスムーズになります。特に預貯金やネット銀行、クレジットカード、サブスク契約など、デジタル資産に関する書類は早めに整理しておくことが望ましいとされています。

信頼できる友人や専門家を“人生の伴走者”として位置づけることも、おひとり様にとって大きな支えになります。こうした人や仕組みを整えるだけで、終活全体に対する安心感は驚くほど変わります。

相続人がいなくても自分の意思で人生を決めるのがおひとり様終活の本質

おひとり様の終活において最も大切なのは、「自分の人生を自分で選ぶ」という姿勢です。

相続人がいないからといって、財産の行き先が決められないわけではありません。また、生前整理や寄付、信託を活用することで、自分が積み重ねてきた人生の価値を誰かに託すこともできます。

例えば、遺言書を作ることで財産の行き先を指定でき、遠縁の親族や友人、支援してほしい団体などに遺贈することも可能です。また、遺贈寄付は社会貢献としての意味合いも強く、「誰かの役に立てた」と感じられる人生の締めくくり方として選ぶ方も増えています。

さらに、デジタル資産や生前の希望を整理しておくことで、「自分らしい最期」を形にしやすくなります。相続人がいないおひとり様にとって、終活は自分の意思を尊重した人生設計を行うための大切な行動と言えるのです。

終活を通して自分の人生を見つめ直すことで、「何を大切にして生きたいのか」「これからどう過ごしたいのか」といった価値観も自然と見えてきます。相続人がいないという状況は、決して不利ではなく、自分自身の選択肢を広げるチャンスにもなります。

おひとり様の終活は、人生の最期を決める行動でありながら、同時に“これからの人生を豊かにするための準備”でもあります。

本記事での解説は以上となります。本記事を通じて皆様の人生・終活がより良いものになることを願っております。

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