仮想通貨の相続、パスワードがわからない時の対処法とは

仮想通貨を保有していたご家族がお亡くなりになり、いざ相続の手続きを始めようとしたら、取引所のパスワードがわからず途方に暮れてしまった。そうしたお悩みを耳にすることが増えています。
パスワードが不明なままでは相続税がどうなるのか、そもそも手続きを進められるのか、不安に感じる方も多いのではないでしょうか。この記事では、仮想通貨の相続でパスワードがわからない場合の対処法と、ご自身が将来同じ状況をご家族に残さないための備え方を、わかりやすく解説します。

目次

仮想通貨の相続でパスワードがわからない場合、相続税はどうなる?

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仮想通貨(暗号資産)の相続でまず気になるのは、パスワードがわからず取引所にアクセスできない状態でも、相続税の申告が必要になるのかという点ではないでしょうか。
結論からお伝えすると、パスワードが不明であることは、相続税の課税対象から外れる理由にはなりません。仮想通貨は預貯金や不動産と同じく、相続財産として評価され、申告の対象になります。
「パスワードがわからないのだから、存在しないものとして扱えるのでは」と考えてしまいがちですが、税務上はそうした扱いにはならない点に注意が必要です。このあと、具体的な理由や評価方法、申告を怠った場合のリスクについて、順を追って見ていきましょう。

仮想通貨の相続はパスワードが不明でも相続税の対象になる

仮想通貨の相続において、被相続人(ひそうぞくにん、財産を遺して亡くなった方)が設定したパスワードを相続人が知らない場合であっても、相続人はその仮想通貨を承継することになるため、相続税の課税対象として扱われます。
これは、仮想通貨そのものの所有権が、パスワードの認知状況とは切り離して考えられているためです。パスワードを知らないからといって、財産としての価値が消えるわけではない、という考え方が根底にあります。
たとえば、通帳を紛失して残高がわからない預金口座であっても、金融機関に問い合わせれば残高を確認できるのと同じように、仮想通貨も取引所や記録をたどることで存在や残高を把握できる場合が多くあります。
そのため、「パスワードがわからないから相続税の申告をしなくてよい」と自己判断してしまうと、後から税務署の指摘を受け、思わぬ形で負担が増えてしまう可能性があります。まずは仮想通貨の存在自体を正しく把握し、専門家に相談しながら手続きを進めることが、結果として安心につながります。

仮想通貨(暗号資産)の相続税評価額はどう算定される?

仮想通貨の相続税評価額は、活発な市場が存在するかどうかによって算定方法が変わります。国内の主要取引所で継続的に売買されているビットコインやイーサリアムなどは、相続開始日(通常はお亡くなりになった日)の取引価格をもとに評価するのが基本的な考え方です。
一方で、取引量の少ないマイナーな銘柄や、市場価格が明確でない仮想通貨については、個別に評価方法を検討する必要が出てきます。こうしたケースでは、税理士など専門家の判断を仰ぐことが望ましいでしょう。
評価額を算定する際には、単に「いくらで買ったか」ではなく、相続が発生した時点での時価で計算する点にも注意が必要です。仮想通貨は価格変動が大きいため、購入時と相続時で評価額が大きく異なることも珍しくありません。
また、複数の取引所やウォレットに分散して仮想通貨を保有していた場合は、それぞれの残高を漏れなく確認し、合算して申告する必要があります。存在を把握しきれないまま申告してしまうと、後日の修正申告につながる可能性もあるため、落ち着いて一つひとつ確認していくことが大切です。

仮想通貨の相続を申告しないままにするとどうなるか

パスワードがわからず仮想通貨を取得できない状態のまま、相続税の申告を行わなかった場合、どのようなことが起こり得るのでしょうか。
まず、申告義務がある財産を申告しなかった場合、後から税務署の調査などで仮想通貨の存在が判明すると、本来納めるべき税額に加えて、無申告加算税(むしんこくかさんぜい、期限内に申告をしなかった場合に課される追加の税金)や延滞税が発生する可能性があります。
「パスワードがわからなかったのだから仕方がない」という事情は、税務上は考慮されにくい面があります。相続人が本当にパスワードを知らないのか、あるいは意図的に申告を避けているのかを、税務署側で確認する手段は限られているためです。
そのため、パスワードが不明であっても、仮想通貨の存在に気づいた時点で、できるだけ早めに専門家へ相談し、正しい形で申告の準備を進めておくことが安心につながります。取引所への問い合わせや必要書類の準備には時間がかかることも多いため、余裕を持って動き始めることをおすすめします。

「仮想通貨を相続放棄すれば関係ない」と考える前に知っておきたいこと

「パスワードがわからず手続きが面倒なら、いっそ仮想通貨だけ相続放棄すればいいのでは」と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、相続放棄はご存じの通り、特定の財産だけを選んで放棄するという制度ではありません。
相続放棄をすると、仮想通貨だけでなく、預貯金や不動産などプラスの財産も含めて、すべての相続権を失うことになります。
相続放棄したら、借金は消えた。でも土地も手放せなくなったという記事でも触れているとおり、相続放棄には見えにくいデメリットも伴うため、仮想通貨のパスワードがわからないという理由だけで安易に判断するのは避けたいところです。
もし仮想通貨以外にも大きな財産や負債が絡んでいる場合は、仮想通貨のパスワード問題と相続放棄の判断を切り分けて考える必要があります。まずは仮想通貨を含めた財産全体を洗い出し、プラスとマイナスのバランスを確認したうえで、相続放棄をするかどうかを検討することをおすすめします。判断に迷う場合は、早めに専門家に相談すると安心です。

仮想通貨の相続、国内取引所を利用していた場合の手続き

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ここからは、実際に仮想通貨の相続手続きをどのように進めればよいのか、国内の取引所を利用していたケースを中心に見ていきましょう。
「パスワードがわからないのだから、もう手続きのしようがないのでは」と諦めてしまう方もいらっしゃいますが、国内の主要な仮想通貨交換業者(取引所)であれば、パスワードやIDが不明であっても、所定の手続きを踏むことで相続財産として受け取れるケースがほとんどです。
どのような書類が必要で、どのような流れで進むのか、あらかじめ知っておくことで、いざというときの不安を和らげることができます。順を追って確認していきましょう。

パスワードやIDが不明でも仮想通貨の相続手続きは進められる

国内の仮想通貨取引所を利用していた場合、被相続人が設定していたパスワードやログインIDがわからなくても、慌てる必要はありません。法定相続人(ほうていそうぞくにん、法律で相続の権利を持つと定められた人)としての立場を証明する書類を、取引所へ提出することで手続きを進められる仕組みが整っているためです。
これは、銀行預金の相続手続きと似た考え方だと捉えると、イメージしやすいかもしれません。通帳やキャッシュカードを紛失していても、必要書類さえそろえば預金の相続手続きができるのと同様に、仮想通貨もパスワードそのものより「相続人であることの証明」が重視されます。
そのため、パスワードがわからないからといって仮想通貨を諦めてしまう前に、まずはどの取引所を利用していたのかを特定し、その取引所のサポート窓口に問い合わせてみることをおすすめします。取引履歴の通知メールやスマートフォンのアプリ一覧などから、利用していた取引所の手がかりが見つかることも少なくありません。

仮想通貨の相続手続きに必要な主な書類

仮想通貨の相続手続きを進めるにあたっては、一般的に以下のような書類が必要になります。取引所によって多少の違いはありますが、大きな流れは共通しています。
代表的なものとしては、被相続人の戸籍謄本や除籍謄本、法定相続情報一覧図のいずれか、相続人代表者の本人確認書類、そして遺言書がない場合は相続人全員の同意書や印鑑証明書、遺産分割協議書(いさんぶんかつきょうぎしょ、相続人全員でどの財産を誰が相続するか話し合った内容をまとめた書類)などが挙げられます。
これらの書類は、仮想通貨に限らず預貯金や不動産の相続手続きでも共通して求められるものが多いため、一度そろえておけば他の相続手続きにも活用できます。
書類集めは手間がかかるように感じられるかもしれませんが、一つひとつは市区町村役場や公証役場で取得できるものがほとんどです。どこから手をつければよいかわからない場合は、行政書士や司法書士といった専門家に相談すると、必要書類の一覧やスケジュールを整理してもらえるため、心強い味方になってくれるでしょう。

仮想通貨取引所への問い合わせから相続財産受け取りまでの流れ

実際の手続きの流れとしては、まず利用していた仮想通貨取引所のサポート窓口へ連絡し、相続手続きに必要な書類を案内してもらうところから始まります。
その後、案内された書類(暗号資産の売却依頼書や出金依頼書、口座抹消依頼書など)を取引所指定の様式で準備し、相続人の代表者から取引所へ送付します。
取引所側で書類内容の確認が済むと、多くの場合、仮想通貨そのものを相続人が直接引き継ぐのではなく、取引所側で日本円に換算したうえで、代表相続人の銀行口座に送金される形で手続きが完了します。
この点は、仮想通貨のまま相続できると思っていた方にとっては意外に感じられるかもしれませんが、時価で現金化されることで、相続人間での分割がしやすくなるという側面もあります。手続き全体を通じて、パスワードそのものが必須になる場面は限られているため、まずは落ち着いて取引所とのやり取りを進めていくことが大切です。

仮想通貨の相続手続きにかかる期間の目安

仮想通貨の相続手続きにかかる期間は、必要書類がスムーズにそろうかどうかによって大きく変わってきますが、書類の請求から取引所での確認、送金までを含めると、数週間から数か月程度を見込んでおくとよいでしょう。
相続手続き全体には、相続手続きを放置するとどうなる?3か月・10か月・3年の期限と対処法で解説しているように、相続放棄の検討期限(3か月)や相続税の申告期限(10か月)といった、法律で定められた期限が存在します。
仮想通貨のパスワード確認や取引所とのやり取りに時間を取られているうちに、こうした期限が迫ってしまうケースも考えられます。
そのため、仮想通貨の存在に気づいた段階で、できるだけ早めに取引所への問い合わせを始め、他の相続財産の手続きと並行して進めておくことが望ましいといえます。期限が近づいてから慌てることのないよう、早めのスケジュール管理を心がけましょう。

仮想通貨のウォレットの種類によって、パスワードへの対応は変わる

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仮想通貨の相続でパスワードがわからないと一言でいっても、実はどのような形で仮想通貨が保管されていたかによって、対処の仕方は大きく異なります。
仮想通貨の保管方法には、大きく分けて「取引所に預けているウェブウォレット」「スマートフォンやパソコンのアプリで管理するソフトウェアウォレット」「専用のデバイスで管理するハードウェアウォレット」の3種類があり、それぞれパスワードの性質や、相続時に確認すべきポイントが変わってきます。
被相続人がどのタイプでご自身の仮想通貨を管理していたのかを見極めることが、パスワード問題を解決する第一歩になります。ここでは、それぞれのウォレットごとの特徴と、相続時に押さえておきたいポイントを見ていきましょう。

ウェブウォレット(取引所預け)の仮想通貨とパスワード

ウェブウォレットとは、仮想通貨取引所(暗号資産交換業者)に仮想通貨を預けている状態のことを指します。法定通貨でいえば、銀行の預金口座に近いイメージだと考えるとわかりやすいでしょう。
この場合、ログインパスワードそのものがわからなくても、先ほどご紹介したとおり、取引所への問い合わせと相続手続きに必要な書類の提出によって、相続財産として受け取れる可能性が高くなります。
取引所側が本人確認や資産管理を代行してくれているため、被相続人本人しか知り得ない情報がなくても、法定相続人であることを証明できれば手続きが進められる、という安心材料があります。
そのため、まずは被相続人がどの取引所を利用していたのかを、メールの通知履歴やクレジットカードの明細、スマートフォンにインストールされているアプリなどから特定することが、最初の一歩になります。心当たりのある取引所がいくつかある場合は、それぞれに問い合わせてみることをおすすめします。

ソフトウェアウォレット(アプリ管理)の仮想通貨とパスワード

ソフトウェアウォレットは、取引所を介さず、スマートフォンやパソコンのアプリ上で仮想通貨を直接管理する形態です。いわゆる「タンス預金」に近いイメージで、自己責任のもとで資産を管理する仕組みになっています。
このタイプの場合、ウェブウォレットのように取引所が間に入ってくれるわけではないため、パスワードやリカバリーフレーズ(秘密鍵を再生成するための単語の並び)がわからないと、資産へのアクセスが難しくなる可能性が、ウェブウォレットに比べて高くなります。
まずは、それらしいアプリを特定できた場合、アプリの提供元(ウォレット業者)に問い合わせてみることをおすすめします。ウォレットの提供業者によっては、一定の条件のもとでパスフレーズの復元に対応してくれる場合があります。
また、心当たりのある数字の組み合わせをいくつか試してみたり、被相続人が残していたメモ帳や日記の中にヒントが残されていないか確認してみたりすることも、有効な手段のひとつです。焦らず、一つひとつ手がかりを探していく姿勢が大切です。

ハードウェアウォレットの仮想通貨とシードフレーズの重要性

ハードウェアウォレットは、カード型やUSB型の専用デバイスを使って仮想通貨を管理する方法です。単体では残高の確認や送金ができず、専用のアプリやウェブサイトに接続して初めて操作できる仕組みになっています。
ハードウェアウォレットへのアクセスには、多くの場合PINコード(暗証番号)が必要です。加えて、ウォレットの種類によっては、シードフレーズ(秘密鍵を復元するための単語の並び、リカバリーフレーズとも呼ばれます)がわかれば、別のデバイスからでも秘密鍵を再生成できる場合があります。
つまり、ハードウェアウォレット本体が見つかったとしても、PINコードとシードフレーズの両方がわからなければ、中の仮想通貨にアクセスすることが難しくなってしまう可能性があるということです。
まずはメーカーのサポート窓口に問い合わせてみることをおすすめしますが、原則としてスマートフォンやパソコンの通信業者・メーカーが端末のロック解除に応じることはない点にも留意しておきましょう。だからこそ、シードフレーズをどこにどう残しておくかという生前の備えが、後のご家族にとって大きな安心材料になります。

仮想通貨のパスワードやシードフレーズを復元する方法

被相続人が仮想通貨を保有していたことは判明したものの、パスワードやシードフレーズがどうしても見つからないという場合、いくつかの対処法が考えられます。
まず試したいのは、心当たりのある数字や単語をいくつか入力してみることです。誕生日や記念日、よく使っていた単語の組み合わせなど、身近な情報からヒントが見つかることもあります。あわせて、メモ帳や手帳、日記などに書き残されていないかも確認してみましょう。
それでも見つからない場合は、専門業者への依頼や、市販のロック解除ソフトを利用するという方法もあります。ただし、こうした方法を使っても、必ずしも解除できるという保証はない点には注意が必要です。
費用や時間をかけて挑戦しても解決に至らないケースもあるため、まずは無理のない範囲で試し、それでも難しい場合は、無理に解読を続けるよりも、税理士など専門家に相談しながら次の対応(財産としての申告方法など)を検討していくほうが、心の負担も少なく済むかもしれません。

海外の仮想通貨取引所を利用していた場合、相続で注意したいこと

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近年は、国内の取引所だけでなく、海外の仮想通貨取引所を利用している方も増えてきました。被相続人が海外の取引所に口座を持っていた場合、相続の手続きは国内取引所とは異なる進め方になることが多く、あらかじめ知っておくと安心です。
「海外の取引所だから、もう手続きのしようがないのでは」と感じてしまう方もいらっしゃいますが、時間はかかるものの、対応してもらえる可能性は十分にあります。
ここでは、海外取引所ならではの注意点と、パスワードがわからない状態でどのように対応していけばよいかを見ていきましょう。

複数の国や取引所にまたがって保有しているケースも増えており、パスワードだけでなく、そもそもどの取引所を利用していたかを把握すること自体が難しい場合もあります。

海外の仮想通貨取引所は国内と相続手続きの流れが異なることがある

海外の取引所を利用していた場合、それぞれの国や取引所ごとに定められた手続きの手順に従う必要があり、日本国内の取引所とは求められる書類や手続きの進め方が異なる可能性があります。
たとえば、日本の戸籍謄本に相当する書類が海外では存在しない、あるいは別の形式の証明書が必要になるといったケースも考えられます。取引所によっては、日本の法定相続情報一覧図をそのまま提出できない場合もあるでしょう。
そのため、被相続人が海外取引所を利用していたことが判明した時点で、まずはその取引所のウェブサイトやサポートセンターを通じて、必要な手続きや書類について確認することが第一歩になります。
国内の手続きと同時並行で進めようとすると混乱しやすいため、担当者を分けて対応する、あるいは専門家にまとめて相談するなど、進め方を整理しておくことをおすすめします。

言語や本人確認書類の壁にどう向き合うか

海外取引所とのやり取りでは、サポート窓口が英語など日本語以外の言語での対応になることが多く、言葉の壁を感じる方も少なくありません。
また、本人確認書類についても、日本国内で通用する書類がそのまま海外取引所で認められるとは限らず、翻訳文の添付や、追加の証明書の提出を求められることもあります。
こうした壁を前に、手続きそのものを諦めてしまいたくなる気持ちも理解できますが、翻訳サービスや、海外の相続手続きに詳しい専門家のサポートを借りることで、負担を軽減できる場合があります。
一人ですべてを抱え込もうとせず、必要に応じて周囲の力を借りながら進めていくことが、結果として手続きをスムーズに終わらせることにつながります。特に、複数の海外取引所を利用していた形跡がある場合は、優先順位をつけて一つずつ対応していくとよいでしょう。

仮想通貨取引所と連絡が取れない場合の考え方

海外取引所の中には、日本からの問い合わせに対する返信が遅い、あるいはサポート窓口自体が縮小・閉鎖されているケースも見られます。連絡が取れない状態が続くと、不安や焦りを感じてしまうかもしれません。
そのような場合でも、すぐに諦めてしまう必要はありません。まずは取引所の公式ウェブサイトやSNSアカウントで最新の運営状況を確認し、問い合わせ方法に変更がないかをチェックしてみましょう。
また、同じ取引所を利用していた他の相続人や、インターネット上の体験談などから、対応のヒントが得られることもあります。
どうしても連絡がつかない、あるいは取引所自体が事業を停止しているような場合は、財産として評価すること自体が難しくなるケースもあるため、税理士に相談し、申告上どのように扱うべきかを個別に確認しておくと安心です。連絡が取れないことをもって、財産がなかったことにはできない点には注意しておきましょう。

相続に強いサポート窓口への早めの相談が安心につながる

海外の仮想通貨取引所が関わる相続は、国内だけの手続きに比べて時間も手間もかかりやすい傾向があります。だからこそ、できるだけ早い段階で、相続に詳しい専門家へ相談しておくことが、結果として安心につながります。
税理士であれば申告や評価の相談を、行政書士や司法書士であれば必要書類の整理や海外への対応方法の相談を、それぞれの専門分野に応じて頼ることができます。
特に、複数の国・取引所にまたがって仮想通貨を保有していたようなケースでは、財産の全体像を一人で把握するのは簡単ではありません。専門家に間に入ってもらうことで、抜け漏れなく整理を進めやすくなります。
仮想通貨の相続に不慣れな専門家も少なくないため、事前に「仮想通貨や海外資産の相続実績があるか」を確認したうえで相談先を選ぶと、より安心して任せられるでしょう。

仮想通貨の相続でパスワードに困らないために、生前にできる備え

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ここまで、パスワードがわからない状態から相続手続きを進める方法についてお伝えしてきましたが、本来であれば、ご家族がこうした苦労をしなくて済むよう、生前のうちに備えておくことが望ましいといえます。
仮想通貨は、預貯金や不動産と違って存在自体が周囲に気づかれにくい財産です。パスワードやシードフレーズという、本人しか知り得ない情報に依存する部分が大きいからこそ、元気なうちの準備が何よりの安心材料になります。
ここでは、仮想通貨の相続で家族が困らないよう、今からできる具体的な備え方をご紹介します。

保有する仮想通貨の存在をエンディングノートに書き残しておく

まず取り組みやすいのが、ご自身が保有している仮想通貨について、利用している取引所名やウォレットの種類、おおよその保有状況を、エンディングノートに書き残しておくことです。
パスワードそのものを書く必要はありません。「どの取引所を利用しているか」「どのアプリでウォレットを管理しているか」といった、存在の手がかりだけでも記録しておくことで、ご家族が仮想通貨の存在に気づけるようになります。
実際、この記事の前半でご紹介したとおり、仮想通貨の相続手続き自体は、パスワードが不明でも進められるケースがほとんどです。つまり、ご家族にとって一番の壁は「パスワードがわからないこと」以上に「そもそも仮想通貨を保有していたことに気づけないこと」だといえます。
Amazonギフト券は相続できる?残高の手続き方法を解説でも触れているように、デジタル資産は目に見えにくいからこそ、存在そのものを記録しておく意識が大切です。

仮想通貨のパスワードそのものは書かず「保管場所」を伝える工夫

パスワードやシードフレーズを直接エンディングノートに書いてしまうと、第三者に見られた際に不正利用のリスクが生じてしまいます。そのため、パスワードそのものではなく、「保管場所」を伝えるという工夫がおすすめです。
たとえば、シードフレーズを紙に書いて金庫に保管している場合は、「仮想通貨の情報は自宅の金庫に保管してある」といった形で、保管場所だけをエンディングノートに記しておく方法があります。
あるいは、信頼できる家族や専門家に、封をした状態でパスワード情報を預けておき、「もしものときに開封してほしい」と伝えておくという方法も考えられます。
どの方法を選ぶにしても、パスワードの中身とその存在・保管場所を分けて管理する、という視点を持っておくことが、セキュリティと相続のしやすさを両立させるポイントになります。AI遺言書は法的に有効?知っておくべき要件と限界のように、デジタル技術を活用した資産管理・記録の方法にも、あわせて目を向けてみるとよいでしょう。

家族に仮想通貨の知識がなくても相続で困らない準備の仕方

仮想通貨に馴染みのないご家族にとっては、「ウォレット」「シードフレーズ」といった言葉自体が耳慣れず、何をどうすればよいのか見当がつかないことも少なくありません。
そのため、専門用語を並べるだけでなく、「取引所に連絡すれば手続きができる」「困ったときは税理士に相談すればよい」といった、次に取るべき行動までをあわせて伝えておくと、ご家族の不安を大きく減らすことができます。
また、この記事でご紹介したような相続手続きの流れを、簡単なメモとしてエンディングノートに添えておくのもひとつの方法です。「何から始めればよいかわからない」という状態を避けられるだけで、ご家族の負担は大きく変わってきます。
仮想通貨の相続に関する情報を継続的に見直し、保有状況が変わるたびに記録を更新しておくことも、長い目で見た安心につながります。年に一度など、タイミングを決めて見直す習慣をつけておくとよいでしょう。

おひとり様が仮想通貨の相続で考えておきたい託し先

ご家族が近くにいない、あるいは頼れる身内がいないおひとり様の場合、仮想通貨の存在を誰に伝え、誰に手続きを託すかという点が、より重要な課題になります。
親族が遠方にいる、あるいは疎遠であるといった状況では、エンディングノートを書いていても、それを見つけてもらえなければ意味がありません。信頼できる友人や専門家に、あらかじめ「もしものときはこの記録を確認してほしい」と伝えておく、といった工夫が必要になります。
よりねこでは、こうしたおひとり様の終活に関するご相談を承っており、仮想通貨を含めたデジタル資産の整理や、エンディングノートの書き方についてもサポートしています。誰に何を託せばよいか迷ったときは、お気軽にご相談いただければと思います。
お盆の帰省で進める実家の仏壇・遺影整理、何から手をつける?でも触れているとおり、生前の備えは仮想通貨だけにとどまりません。お墓や遺影、思い出の品の整理なども含めて、少しずつ準備を進めておくことで、ご家族やご自身の将来の安心につながります。

まとめ

仮想通貨の相続でパスワードがわからないという状況は、決して珍しいことではありません。パスワードが不明であっても相続税の対象になること、国内取引所であれば書類をそろえることで手続きを進められることなど、知っておくだけで気持ちが軽くなる情報も多くあります。
一方で、こうした苦労をご家族に残さないためには、生前のうちに仮想通貨の存在を書き残し、保管場所を伝えておくといった備えが何より大切です。
よりねこでは、仮想通貨をはじめとするデジタル資産の整理や、エンディングノートの作成に関するご相談を承っております。パスワードの管理方法や、ご家族への伝え方に不安を感じている方は、お気軽にお問い合わせください。

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