「身元保証サービスを検討しているけれど、そもそもこの業界にはどれくらいの事業者があるのだろう」「大手と小規模、どちらが安心なのだろう」——そんな疑問をお持ちではないでしょうか。
身元保証サービスは、直接規律・監督する法令や制度がなく、事業者同士を横並びで比較できる公的な情報もこれまでほとんどありませんでした。
本記事では、令和5年8月に総務省行政評価局が公表した初の全国調査結果をもとに、事業者数や利用者数、サービス内容の実態をわかりやすく解説します。業者選びの判断材料として、ぜひ参考にしてください。
総務省が初めて実施した全国調査|身元保証サービス事業者の実態はこれまで不明だった

身元保証等高齢者サポート事業(本記事では「身元保証サービス」と表記します)については、これまで事業全体の実態を明らかにした公的な調査がありませんでした。
そのため、利用を検討している方にとっては、どのような事業者がどれくらい存在し、どのようなサービスを提供しているのか、比較する手がかりが乏しい状態が続いていました。
令和5年8月、総務省行政評価局が「身元保証等高齢者サポート事業における消費者保護の推進に関する調査」の結果を公表し、はじめて業界全体の輪郭が明らかになりました。
なぜ今、総務省が実態調査に乗り出したのか
背景にあるのは、高齢化の進展や核家族化に伴う高齢者の単独世帯の増加です。
令和2年の国勢調査によると、65歳以上の単独世帯はすでに671万7千世帯にのぼり、家族や親族に頼れない高齢者が増えているとされています。
病院への入院や介護施設等への入所の際の身元保証、その後の生活支援、お亡くなりになった後の財産処分などについて、家族・親族による支援を受けられない高齢者が、第三者による支援を必要とする場面が増えているのです。
こうした需要の高まりを受けて、家族・親族に代わってこれらの支援を行う「身元保証等高齢者サポート事業者」が増加してきました。
一方で、事業者が経営破綻し、利用者が預けていたお金を失うといった事件も起きており、事業全体の実態を明らかにし、消費者保護を推進する必要性が高まっていたことが、今回の調査の背景にあります。
調査の方法|インターネット検索や聞き取りで412事業者を把握
今回の調査でまず大きな課題となったのは、そもそも国内にどれくらいの事業者が存在するのか、それを網羅的に把握した公的な資料がなかったという点です。
そこで総務省は、「高齢者×身元保証」「高齢者×身元保証人」「高齢者×身元引受」「高齢者×生活支援」「高齢者×死後事務」といったキーワードでインターネット検索を行うとともに、地域名を組み合わせた検索も実施しました。
これに加えて、事業者が多く所在する市区町村の高齢者福祉や介護、消費者部門の担当課室、地域包括支援センター、消費生活センターへのヒアリングや、全国50か所の介護施設等への聞き取りも行っています。
これらを積み重ねた結果、身元保証サービスまたは日常生活支援・死後事務のいずれかを実施していると考えられる事業者を、全国で412事業者把握するに至りました。
実際に詳しく調査できたのは204事業者
把握できた412事業者のうち、事業開始から5年を経過し活動実績がある事業者や、支社・支部が複数ある全国規模の事業者など、88事業者にはヒアリング調査を実施しました。
残りの事業者のうち、ホームページに連絡先の記載がなく調査自体が不可能だった事業者を除いた319事業者には、書面による調査を依頼しています。
このうち協力が得られたのは140事業者でしたが、身元保証サービスや日常生活支援、死後事務のいずれも実施していないと回答した24事業者を除き、116事業者を書面調査の対象としました。
以上を合計すると、ヒアリングと書面調査をあわせて204事業者から回答が得られたことになります。これが今回の調査の基礎データとなっています。
この調査結果からわかること・わからないこと
今回の調査は、把握できた範囲での実態調査であり、日本全国に存在するすべての身元保証サービス事業者を網羅したものではないという点には注意が必要です。
また、個別の事業者名については、サービス利用者への配慮や事業者情報の保護の観点から、報告書には記載されていません。
そのため、この調査結果を「特定の事業者が安全かどうか」を判断する材料として使うことはできませんが、業界全体の傾向、たとえば法人形態の分布や事業規模、サービス内容の一体提供の実態などをつかむ上では、非常に貴重な一次情報だといえます。
次の章から、具体的な調査結果の内容を見ていきましょう。
身元保証サービスの事業者数はどれくらい?法人形態と参入業種の実態

身元保証サービスを提供する事業者は、株式会社のような営利法人だけでなく、NPO法人や一般社団法人など、さまざまな法人形態で運営されています。
どのような法人形態の事業者が多いのか、また、どのような業種を母体として参入しているのかを見ていくことで、業界全体の性格がより具体的に見えてきます。
身元保証サービスの事業者タイプを比較|NPO・社団・民間の特徴と注意点でも詳しく解説していますが、ここでは総務省調査の具体的な数値をもとに実態を整理します。
最も多いのは一般社団法人|4割以上を占める
調査対象となった204事業者の法人形態を見ると、最も多かったのは一般社団法人で、95事業者と全体の46.6%を占めていました。
一般社団法人は、比較的少ない手続きで設立できることから、身元保証サービスのように高齢者支援を目的とした新しい事業形態を始める際の受け皿として選ばれやすい傾向があると考えられます。
続いて多かったのがNPO法人で61事業者(29.9%)、株式会社などの営利法人が38事業者(18.6%)という結果でした。
このほか、士業団体が4事業者、公益社団法人が1事業者、一般財団法人が1事業者、合同会社や中小企業組合等のその他団体が4事業者みられ、実にさまざまな法人形態が身元保証サービスの担い手になっていることがわかります。
NPO法人・株式会社の割合はどのくらいか
一般社団法人とNPO法人をあわせると、204事業者のうち76.5%、実に4分の3以上を非営利の法人形態が占めていることになります。
これは、身元保証サービスが単なる営利事業としてではなく、公益的な色合いの強い事業として位置づけられてきた歴史的な経緯とも関係していると考えられます。
一方で、株式会社などの営利法人も18.6%を占めており、一定の市場性・事業性を見込んで参入している企業も少なくないことがうかがえます。
利用を検討する際には、法人形態そのものだけで安心・不安を判断するのではなく、それぞれの事業者がどのような理念や体制でサービスを提供しているのかを確認することが大切です。
士業やボランティア団体など多様な業種からの参入
調査では、事業者の母体となっている業種についても整理されています。
最も多かったのは弁護士や司法書士、行政書士といった士業で、204事業者中55事業者(27.0%)を占めました。
次いで多かったのが「ボランティア団体等母体がないと思われる事業者」で、こちらも55事業者(27.0%)と同数でした。
このほか、賃貸住宅や介護施設等への入所支援を母体とする事業者が33事業者(16.2%)、介護サービス業を母体とする事業者が25事業者(12.3%)、葬儀業を母体とする事業者が14事業者(6.9%)と続き、医療、不動産業、宗教法人、清掃業、コンサルティング業、家賃保証会社など、実に多様な業種から参入が進んでいることがわかります。
これは裏を返せば、身元保証サービスが特定の専門分野に閉じた事業ではなく、高齢者の生活のさまざまな場面に関わる業種から自然発生的に生まれてきた事業であることを示しているといえるでしょう。
2014年以降、毎年10事業者以上が新規参入している
調査対象となった事業者の事業開始年を見ると、平成26年(2014年)から令和3年(2021年)までの毎年、少なくとも10事業者以上が新たにサービスを開始していることがわかりました。
とりわけ令和元年(2019年)は21事業者、令和2年(2020年)は28事業者、令和3年(2021年)は32事業者と、近年になるほど新規参入が加速している傾向が読み取れます。
この背景には、単身高齢者の増加や、平成29年に消費者委員会が身元保証サービスに関する建議を取りまとめたことをきっかけに、事業そのものへの社会的な注目度が高まったことなどが影響していると考えられます。
一方で、事業継続年数を見ると、1年以上5年以下の事業者が110事業者(53.9%)と過半数を占めており、比較的新しい事業者が多い業界であることもうかがえます。
新規参入が活発であることは選択肢の広がりというメリットがある一方で、実績や体制が十分に整っているかを見極める重要性も、あわせて意識しておきたいポイントです。
事業者の規模と利用者数|小規模事業者が大半、一方で大規模事業者も
身元保証サービスの事業者と一口にいっても、その規模はさまざまです。
特に、利用者の年齢が上がるほど契約期間が長くなる傾向があることを踏まえると、事業者の規模だけでなく、将来にわたって安定してサービスを提供し続けられる体制があるかどうかも、あわせて見ておきたい視点です。
従事している職員の人数や、実際に契約している利用者の人数を見ていくと、業界の実態がより具体的に浮かび上がってきます。
ここでは、総務省調査で明らかになった事業規模のデータをもとに、小規模事業者が多数を占める一方で、大規模な事業者も存在するという、身元保証サービス業界の二極的な構造を見ていきます。
従事職員数10人未満の事業者が約8割
本社機能のある事業者について、サービスに従事する職員数を調査した結果、10人未満の事業者が146事業者と、全体の約8割(76.8%)を占めていることがわかりました。
内訳を見ると、従事職員数が1人のみという事業者も44事業者(23.2%)みられ、決して少なくない数の事業者が、ごく少人数の体制でサービスを提供している実態がうかがえます。
少人数体制であること自体が問題というわけではありませんが、利用者一人ひとりに寄り添った丁寧な対応ができる一方で、担当者が急病になったり退職したりした場合の引き継ぎ体制がどうなっているかは、契約前に確認しておきたいポイントだといえるでしょう。
特に身元保証サービスは、契約から数十年にわたって続く可能性がある長期的な契約です。担当者個人の頑張りだけに頼らない組織的な体制があるかどうかは、安心してサービスを利用し続けられるかを左右する重要な要素になります。
契約者数10人未満の事業者が最も多い実態
本社機能のある事業者について、令和4年8月1日時点の契約者数を調査した結果、最も多かったのは契約者数10人未満の事業者で、64事業者(33.7%)にのぼりました。
次いで10人〜49人が57事業者(30.0%)、50人〜99人が23事業者(12.1%)と続き、契約者数100人未満の事業者を合計すると、全体の6割以上を占める計算になります。
つまり、身元保証サービス業界の多くは、まだ利用者数がそれほど多くない、比較的小規模な事業者によって支えられている状況にあるといえます。
新しく始まったばかりの事業者が多いことを踏まえると、これは自然な傾向ともいえますが、利用を検討する際には、その事業者がどの程度の実績を積んでいるのかを一つの判断材料として意識しておくとよいでしょう。
契約者数が数千人規模の大規模事業者も存在する
一方で、契約者数が300人以上という事業者も21事業者(11.1%)みられ、小規模な事業者が大半を占める中にも、一定数の大規模事業者が存在することがわかります。
調査結果に掲載されている、従事職員数と契約者数の関係を示した散布図を見ると、契約者数500人以下、従事職員数20人以下のエリアに多くの事業者が集まっている一方で、契約者数が数千人規模にのぼる大規模な事業者も確認できます。
このように身元保証サービス業界は、地域に根ざした少人数体制の事業者から、全国規模で多くの利用者を抱える事業者まで、幅広い規模の事業者が混在しているのが実態です。
大規模だからといって必ずしも安心とは限りませんし、小規模だからといって不安というわけでもありません。事業者の規模は、あくまで判断材料の一つとして捉えることが大切です。
事業規模によってサービスの質や体制はどう違うのか
事業規模の違いは、サービスの質そのものよりも、体制面での特徴の違いとして表れやすいと考えられます。
たとえば、小規模な事業者では、代表者や特定の担当者が利用者一人ひとりと密に関わり、きめ細かな対応をしてくれるという強みがある一方で、緊急時に代わりの担当者がすぐに対応できるかといった継続性の面では、大規模な事業者に分があることもあります。
逆に、大規模な事業者では、組織的な体制が整っている分、担当者の異動や引き継ぎが発生しやすく、利用者との関係性が築きにくいと感じられる場合もあるかもしれません。
どちらが優れているということではなく、ご自身がサービスに何を求めるのか(きめ細かさなのか、組織としての安定感なのか)を整理した上で、事業者を比較検討することが後悔のない選択につながります。
料金体系についても事業者によって差があるため、身元保証サービスの費用相場と内訳|損しない選び方のポイントもあわせてご確認いただくと、より具体的なイメージがつかみやすくなります。
利用者はどんなサービスを受けているのか|身元保証・生活支援・死後事務の一体提供が主流
身元保証サービスと聞くと、入院や施設入所の際の保証人代わりというイメージを持たれる方も多いかもしれませんが、実際に提供されているサービスの範囲はそれだけにとどまりません。
総務省の調査では、事業者が実際にどのようなサービスを組み合わせて提供しているのか、そして利用にどの程度の費用がかかるのかについても、具体的なデータが示されています。
契約前にサービス内容や費用の全体像を把握しておくことで、「思っていたサービスと違った」といった後悔を防ぐことにもつながります。
ここでは、サービス内容の実態と費用感について詳しく見ていきます。
身元保証・日常生活支援・死後事務、3つのサービスの内容
身元保証サービスは、大きく分けて「身元保証サービス」「日常生活支援サービス」「死後事務サービス」という3つのサービスから構成されています。
身元保証サービスには、医療施設への入院や介護施設等への入所の際の連帯保証、手続の代理、医療同意への支援、緊急連絡先の指定の受託などが含まれます。
日常生活支援サービスには、通院の送迎や買い物への同行といった生活支援のほか、年金や公共料金の管理、預貯金の取引に関する手続代行といった財産管理も含まれ、利用者の判断能力が不十分になった場合には、成年後見(任意後見または法定後見)へ移行することを想定して設計されている場合が多くなっています。
死後事務サービスには、お亡くなりになった後の関係者への連絡、火葬や納骨に関する手続、行政機関での各種届出、遺品整理などが含まれ、身寄りのない方にとっては、家族に代わってこれらを担ってくれる重要なサービスとなっています。
全てを一体で提供する事業者が約8割を占める理由
調査対象となった204事業者のうち、身元保証・日常生活支援・死後事務の3つすべてのサービスを提供している事業者は171事業者、全体の約8割(83.8%)にのぼりました。
これは、身元保証サービスを必要とする方の多くが、身元保証だけでなく、日常生活の支援や、お亡くなりになった後の対応についても、あわせて頼れる先を必要としているためだと考えられます。
実際に、事業者に相談する利用者の中には、一人暮らしで身寄りがなく誰にも頼れない方だけでなく、親族はいるものの疎遠であったり、遠方に住んでいて頼れなかったりするケースも多く報告されています。
家族の代わりとして生涯にわたって寄り添う役割が求められる以上、サービスを個別にではなく一体的に提供する体制が主流になっているのは、自然な流れだといえるでしょう。
サービス利用開始時にかかる費用の実態
気になる費用面についても、調査では具体的な事例が示されています。
協力が得られた事業者から提供された資料をもとにした例では、サービスの利用開始時に必要な金額は、少なくとも100万円以上となっていました。
基本料金や契約手数料、身元保証料、生活支援費用、死後事務費用など、費目は事業者によってさまざまですが、いずれの事例でも、契約時にまとまった金額が必要になる点は共通しています。
このことから、身元保証サービスを利用するには、ある程度の収入や資産があることが前提になっているとも読み取れます。
費用体系が事業者ごとに大きく異なるため、複数の事業者から見積りを取り、内訳を丁寧に比較することが、納得できる契約につながります。
死後事務のための「預託金」を預ける仕組み
死後事務サービスを利用する際には、葬儀や納骨などにかかる費用を、あらかじめ事業者に預けておく「預託金(よたくきん)」という仕組みが用いられることが一般的です。
調査対象となった204事業者のうち、約8割にあたる157事業者(77.0%)が「預託金あり」と回答しており、多くの事業者がこの仕組みを採用していることがわかります。
預託金の管理方法については、自社の専用口座で管理するとしている事業者が最も多い一方で、信託会社の信託口座で管理するとしている事業者や、業務提携している士業法人の口座で管理するとしている事業者など、方法は事業者によってさまざまです。
過去には、預託金の保全措置が十分でなかった事業者が経営破綻し、サービスが提供されないまま預託金も返還されなかった事例も報告されています。
預託金がどのように管理されているかは、契約前に必ず確認しておきたい重要なポイントです。この点については身元保証サービスが倒産したら?預託金は守られるのか徹底解説で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
調査から見えてきた業界の課題|規制がない中でどう信頼できる事業者を選ぶか
これまで見てきたように、身元保証サービス業界は近年急速に拡大してきましたが、その拡大のスピードに、事業を監督する仕組みの整備が追いついていないという課題も、今回の調査から浮かび上がっています。
規制がない中で、私たちはどのような視点で事業者を選べばよいのでしょうか。調査結果をもとに、業界が抱える課題を整理していきます。利用者一人ひとりが安心してサービスを選べるようになるためにも、業界全体の現状を正しく理解しておくことは大きな意味を持ちます。
事業を監督する省庁が存在しないという実情
身元保証サービスについては、直接規律・監督する法令や制度が現状では存在せず、事業を所管する行政機関もありません。
事業者と利用者との契約関係は、民法で定められた契約の一般原則や、消費者契約法に定められた消費者契約に幅広く適用される民事のルールに従うことになります。
つまり、介護保険サービスのように国が定めた運営基準に沿って事業者が指導・監督されているわけではなく、事業者の自主的な取り組みに委ねられている部分が大きいのが実情です。
令和6年6月には「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」が政府から示されましたが、これはあくまで努力義務であり、遵守しなかった場合の罰則もありません。
こうした状況の中で、利用者自身が事業者を見極める視点を持つことが、これまで以上に大切になってきています。
情報開示が不十分な事業者が多い現状
調査では、事業者がホームページ上でどのような情報を開示しているかについても整理されています。
その結果、「相談受付体制・連絡先」を開示している事業者は86.2%と多かった一方で、利用を検討する上で特に重要と考えられる「サービスごとの費用」を開示している事業者は48.3%、「費用の支払方法」は43.7%にとどまり、半数に満たない結果となりました。
さらに、事業者の経営状況を知る手がかりとなる「財務状況を確認できる事業報告書等」を開示している事業者は、18.4%と2割を下回っていました。
契約内容の重要事項をまとめた「重要事項説明書」の作成を確認できた事業者も、全体の2割程度にとどまっており、情報開示の面では、業界全体として発展途上にあるといえます。
だからこそ、事業者のホームページに掲載されている情報だけで判断せず、気になる点は直接問い合わせて確認する姿勢が欠かせません。
過去に起きたトラブル事例からわかること
調査報告書には、実際に起きたトラブルの事例も紹介されています。
たとえば、契約者本人の判断能力が十分でないまま契約が結ばれ、後になって親族が契約の解除を求めるケースや、利用者からの寄附・遺贈をめぐって、本人の意思に反する内容の遺言書が作成され、トラブルに発展したケースなどが報告されています。
また、入会金や契約金の返金をめぐって、事業者と利用者との間で見解の相違が生じ、最終的に消費者団体から差止め請求を受けた事業者の事例も紹介されています。
こうした事例に共通しているのは、契約内容や費用の取り扱いについて、契約時点での説明が十分でなかったり、判断能力の確認が不十分なまま契約が進んでしまったりした点です。
契約を急がされていると感じたときほど、一度立ち止まって、家族や信頼できる第三者に相談する時間を持つことが、トラブルを避ける上で大切なポイントになります。
国や事業者団体に求められている対応
今回の調査報告書では、今後の課題として、事業者による情報開示のルール化や、預託金の適切な管理方法の明確化、契約時の丁寧な説明と公正な手順の確保などが提起されています。
また、事業者が抱える課題として、業界の認知度の低さや、事業者同士を横並びで比較する基準がないことなどが挙げられ、事業者団体の設立や、行政による監督体制の整備を求める声も紹介されています。
利用者としては、こうした業界全体の動きを見守りつつ、現時点では、複数の事業者を比較し、重要事項説明書の有無や情報開示の丁寧さ、これまでの事業実績などを、自分自身の目で確認していくことが求められます。
事業者選びに迷ったときは、2024年ガイドライン対応|身元保証サービスの選び方と業者チェックの手順や、病院の9割が身元保証人を求める現実|「入院拒否はできない」規定とのギャップを読み解くもあわせてご参照いただくと、より具体的な判断材料が得られます。
まとめ
今回ご紹介した総務省の調査により、これまでベールに包まれていた身元保証サービス業界の実態が、はじめて具体的な数字として明らかになりました。
把握された事業者は412社、詳しく調査できたのは204社で、その多くは一般社団法人やNPO法人が運営する、比較的小規模な事業者であること、そして身元保証・日常生活支援・死後事務を一体的に提供する事業者が約8割を占めることがわかりました。
一方で、事業を監督する省庁が存在せず、情報開示の面でも発展途上にあるという課題も浮き彫りになっています。
だからこそ、利用を検討する際には、複数の事業者を比較し、費用の内訳や預託金の管理方法、重要事項説明書の有無などを、ご自身の目で丁寧に確認していくことが大切です。
よりねこでは、おひとりさまの終活に関するご相談を承っております。身元保証サービスの事業者選びに不安を感じている方は、お気軽にお問い合わせください。